作品を描きたい衝動に駆られた3歳から現在まで、呼吸するようにアート作品を生み出す【じゅり】

クリエイターインタビュー

BONATHIAで活躍するクリエイターの方をご紹介する特集。4回目の今回は、じゅりさんをご紹介します。アーティスト活動を始めたきっかけや制作、これからの目標などを伺いました。

3歳から描き始め、高校卒業後はアメリカでスキルを磨く

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―じゅりさんがアートの製作を始めたのは、いつごろですか?
物心ついた時からもう絵を描いていました。もっとも古い記憶は、3歳の時に祖父母と旅行したときのことです。床にシャンデリアの影があったのを見て、「これを描きたい」と思いました。
本格的に描き始めたのは10歳のころです。近所にあった油絵のサークルに入りました。本当は6歳の時に初めて油絵を見て「これを描きたい」と思ったのですが、そのサークルは大人を対象としたコミュニティだったので、入会できる年齢まで待ちました。
そこでは先生に指導してもらうというより、月に一度みんなで集まって描くという活動をしていました。本格的に勉強をしたのは、高校卒業後です。アメリカの美術大学に進み、デッサンなど勉強しました。そこで美術と同時に英語も学び、専門書を読める程度に語学力を身につけました。

―海外志向を持ってらっしゃったんですね。大学ではどのようなことを学んだか、詳しく教えてください。
大学3年生まではアートセラピーとイラストレーションの2つを主専攻としていました。アートセラピーは日本ではまだ普及していなかったので、それを学んでセラピストになるためにアメリカに行ったのですが、大学3年生の時に考えが変わりました。
イラストレーションでやっていこうと決めたタイミングで、大学の教授から絵の仕事をもらい、仕事として描き始めるようになりました。

―では、ご卒業後もイラストレーターとして働かれていたんですか?
はい。在学中から卒業後にかけて、3人の教授がイラストの仕事を発注してくれました。当時はまだそれだけで食べていけるほどではありませんでしたが、イベントに絵を売りに行ったり、アルバイトを掛け持ちしたりして生活していました。
楽な暮らしではなかったのですが、「失敗してもいい」という気持ちで、まずはやってみようと思い行動していました。
また、大学を卒業する年にだけ応募できるコンペティションがあるので、卒業の年に申し込ました。その作品は佳作になり、モチベーションが上がるきっかけになったと思います。

―すごい行動力ですね。初めて作品が売れた時のことは覚えていますか?
はい、プリントしたポスターを売っていたのですが、ディスプレイ用に飾っていた原画が欲しいと言われました。あくまでプリントを販売していたのですが、その方が「もし売ってくれたら、どれだけ絵を大切にするか」を話されたんです。
まるで絵を口説き落とすようでしたし、そもそも売ろうと思っていたものとは別物だったので、とても驚きました。

クライアントの意向と自分らしさをかけ合わせて作品を生み出す

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―現在も、アメリカを拠点に活動されていますか?
はい、今は住まいもアメリカです。ただクライアントはアメリカだけでなく、カナダやメキシコ、ギリシャ、日本などにいます。どんな作品を作るかは依頼によって様々ですが、日本企業との仕事では、アプリゲーム向けのイラストを制作しました。

―作品を作るときに心掛けていることは何ですか?
依頼を受けて制作する作品は、相手が欲しいものと、私らしさをかけ合わせることが大切です。描く流れとしては、まずクライアントにヒアリングし、それをもとにアイディアスケッチを複数描いて見せ、1つ選んでもらいます。次にラフを作って確認してもらい、下書きが出来たらチェックしてもらい、制作します。

依頼ベースの時はこのようにクライアントと細かく意思疎通をしながら進めますが、自分で自由に描く時は、楽しんで描くことを大切にしています。誰かの意向に沿うわけではなく、自分が描きたいものを楽しく描くというイメージです。

―作品へのこだわりについても教えてください。
こだわりはあまり持っていません。アートというのはあくまでも、見る人が自由に楽しんでもらうものだと思っています。だから、見る人が想像する余地がある絵が描きたいです。
お客様からは「繊細な作品」と言われることが多いので、そういった特徴はあると思います。線が細く、女性らしい感じが好きと言っていただけることも多いです。

―確かに、儚さのある美しさを感じます。作品は、どのくらいのペースで制作されているんですか?
毎日何かしら描いてはいます。ただスピードは作品によってまちまちで、抽象画は悩み出すと2~3日止まることもあります。また、8割くらい描けたのにそこから進められず、10年寝かしておいて、また続きを描くこともあります。
ご依頼があった場合はそんなに時間をかけられないので、決められた納期に合わせて制作します。

アナログとデジタルを駆使して頭の中にある作品を生み出す

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―色々なクライアントから様々なご依頼があると思いますが、どういった内容が多いですか?
サイズ的には、A4サイズのものをよく描きます。もっと大きいものを描きたいとは思うのですが、子育てをしながら制作していて、リビングにつながったアトリエに子どもが入って来てしまうこともあり、まだ難しいです。
今は小学3年生と5歳なので、もう少し大きくなったら大型作品にも取り組めると思います。

―作品制作と子育ての両立は大変そうですが、制作時間はどのくらい取れますか?
子どもが学校に行っている5~6時間と、子供が寝てからの3~4時間ほどです。私は睡眠時間が短いと集中できないタイプなので、自分の寝る時間は確保するようにしています。
ただ、日本で子育てと作品づくりを両立している方とは、少し事情が違うかもしれません。こちらでは寝かしつけという文化はなく、子どもをベッドに入れて、おやすみと声をかけるだけです。住宅には洗濯乾燥機や食洗機がついているのは当たり前ですし、日本ほどマメに掃除する文化もありません。

―たしかに、文化の違いから制作時間が取りやすそうですね。とはいえ、思い通りにすすめられず行き詰ることもありませんか?
頭の中に完成形があって、それが素晴らしい出来栄えなのに、実際に描いている絵はそれと違うという時はイライラすることはあります。頭の中には「この色はこう伸びて、ここで色が混ざって……」など見えているのに、手を動かすとそうならないのです。
そんな時はイメージにぴったり合う表現を見つけるため、色々な手法や画材を試します。これは大変ではありますが、ある意味、楽しい作業です。

―何か、お気に入りの画材はあるんですか?
よく使うのは、三菱の水彩色鉛筆です。他の色鉛筆に比べて、落ち着いた雰囲気を出せます。デジタルで使っているのはiPadとwacomです。iPadは旅行中や子どもの習い事の待ち時間にも利用しています。
デジタルは、形や構図を自由に変えられる点がメリットです。特にアイディアスケッチを描くときには「この部分だけを少し変えたい」ということが多く非常に便利です。反対に、細かく描きすぎてしまって時間がかかる点はデメリットです。最近はデジタルとアナログを組み合わせて、デジタルで下書きしてから、プリントして、アナログで色を塗ることもあります。

人に見られなくなっても当たり前のように描き続ける

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―現在じゅりさんはプロのアーティストとして活躍されていますが、趣味の作品づくりとの違いは何だと思いますか?
絵を描くことについて、プロとアマチュアの違いはありません。ただ、プロはお仕事としてお金をいただく以上、お客様の求めているものを作る義務と責任があります。趣味は自分が描いていて楽しければそれでよいですが、プロになるとすり合わせも必要になるので、自分ができる範囲で対応することが必要です。

―たしかに、独りよがりに描くことはできませんよね。では、じゅりさんにとって作品づくりのとはどんな意味を持っていますか?
呼吸や食事みたいなものです。これがなければ、精神衛生を保つことが難しいと思います。だから、今は仕事として描いていますが、仮に誰も私の作品を見なくなったとしても描き続けます。

―これからもたくさんの作品を制作されること、楽しみにしています。何か、今後の目標はありますか?
今年はクライアントからの依頼ベースの仕事を減らして、自分で好きに描く年にしていきたいと思っています。具体的には、もっと人物と抽象画をあわせたような絵を描いていきたいです。私にとって作品つくりはなくてはならないものなので、今後も描き続けていきたいと思います。

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