「思い通りにならないこと」を求め、偶然性の高い作品を作る【Takeshi Yokoshima】

クリエイターインタビュー

BONATHIAで活躍するクリエイターの方をご紹介する特集。2回目の今回は、Takeshi Yokoshimaさんをご紹介します。アーティスト活動を始めたきっかけや制作、作品作りで大切にしていることなどを伺いました。

Instagramでの投稿をきっかけに作品作りのモチベーションがアップ

―初めに、アーティスト活動を始めたきっかけを教えてください。
昔から絵を描くのが好きで、10代の頃からよく書いていました。アーティスト活動というと、1980年代後半からになります。高校卒業後に大学で油絵を専攻していたのですが、当時はちょうどニューペインティングが流行していました。

―ニューペインティングとはどんなものですか?
世界同時多発的に起こったブームで、生死や暴力、性、神話などのイメージを描くものです。みなさんが知っているところだと、ジャン=ミシェル・バスキアやジュリアン・シナベールなどが有名でしょう。
それまでアートの世界は概念的な世界に走っていたのですが、ストリートペイティングから「パワー全開でいいじゃないか」という空気になったんですね。そういうタイミングでアートを始めたので、形があるような、モチーフが感じられるようなものを描いていました。

―その後はどのようにアーティスト活動をされていましたか?
大学卒業後は、アルバイトをしながら作品制作を続けていました。アーティストとして転機が訪れたのは、2017年頃です。Instagramに自分の作品を載せてみたら、それを気に入ってコメントをくれる方が現れ始めました。
SNSがない時代は、自分が描いた絵を人に見てもらうには、ギャラリーを借りて雑誌社や美術評論家などに手紙を書いて来てもらう必要があり、お金と時間がかかりました。しかしInstagramでは画像をアップロードするだけで反響がもらえるので、モチベーションが上がります。

―やはり、反応があると作品作りの励みになりますか。
はい、何も反響がない中で描き続けるのは難しいことです。昔は年に1~2回しか発表できませんでしたが、今では毎日のように自分の作品を見てもらえます。すると、絵に対する評価を自分だけでするのではなく、「この作品は多くの人に気に入ってもらえた」など客観的な事実もわかります。
何度も投稿するうちに、やはり魂を込めて描き上げた質の高い作品ほど、いい反響があることがわかってきました。

自分の計画からあえて外れたものを描けるよう、ときめきと偶然性を大切に制作する

画像2

―ここからは作品制作について伺っていきます。Yokoshimaさんは作品を描いているときに、どんなことを考えていますか?
長年描いていると、自分の中に「こうすれば成功する」というセオリーのようなものが生まれます。しかしその通りに作るのではなく、今あるものの延長とは離れた作品を描くようにしています。

頭で考えられることはつまらないものなので、自分の想いや計画、プランはなるべく捨てたいですね。「何が現れるかわからない」という気持ちで描いて、ひと段落して客観的に見たとき、「こんな風に出来上がっていたのか」と驚く瞬間は楽しいものです。そういう意外性がないと、価値がありません。

―偶然性が非常に重要ということですね。
そうです、頭の中にあるイメージを再現しているのではなく、立ち現れるのを待っているという感覚です。でも、こういう描き方をしているので、ほとんどの作品はゴミになります。私は何枚かを同時に描いているのですが、「これだ」と思えるものは本当に一部です。
ただ、これは見る人によって感覚は変わります。同じ絵を見ても何も思わない人もいれば、大金を払ってでも買いたいという人もいます。

―それは、感覚的なところが大きいからでしょうか?
そうですね、相性の問題です。映画や歌と同じで、万人に好かれる作品や、絶対的な価値基準はありません。あくまでも、その絵を見た人がどう思うかということです。

―続いて、制作過程について具体的に伺います。現在はどういった流れで制作されていますか?
自宅で、だいたい5~6枚は同時進行で描いています。自分が気に入ったもの以外は捨ててしまいますね。1枚当たりの製作時間はまちまちですが、良い作品は一瞬で描き上がります。
画材は、アクリル絵の具や筆の他、建築用のはけやケーキ作りのへらなども使います。また、自分の腕を使うこともあります。腕はなかなかコントロールできないので、思いもがけない仕上がりになります。

―色々な道具を使ってらっしゃいますね。それらはどうやって「次はこれを使ってみよう」と決めるのですか?
生活をしていて、「これを使ったらどうなるんだろう」とわくわくしたら使ってみます。世阿弥は「花」について独特の哲学を持っているのですが、これは平たく言うと、わくわく、ときめき、ドキドキ、といったものを表していると思います。芸術の根っこにあるのはこうした感情です。だから何かを見つけたときに興味や好奇心を掻き立てられたら、すぐに使ってみます。

―高揚する気持ちが大切ということですね。Yokoshimaさんは抽象画を描かれていますが、何かモチーフやモデルをもとに描くことはありますか?
例えば花や昆虫を見てそのまま描くことはありませんが、そこからインスピレーションを得て描くことはあります。自然が持っているパワーを感じて、そこから世阿弥の「花」の感情を持って描きます。

―植物や昆虫のほか、これまで特に感情を動かされたり影響を受けたりしたものは何ですか?
ミケランジェロが描いた、システィーナ礼拝堂の絵です。ゲーテが「人間がどれだけのことを成し遂げられるのか知りたければ、あの絵を見なさい」と言っているほどですが、あれはもうアートの域を超えていると思います。この世には、見えない世界はあるのではと感じさせる作品です。最後の審判の絵を見たときには、今まさにここで審判があって、私が裁かれているように感じました。
これらに関しては、憧れるとか真似したくなるというものではありません。人はここまで行けるのかと、圧倒されました。

アートを通して目に見えない世界を感じられる

画像3

―Yokoshimaさんが、作品を通してお客様に伝えたいことは何ですか?
私の作品を見て、絶対にこう思ってほしいということはありません。その絵に価値があるかないかは、その人と作品の相性次第です。仮に私が「この絵にはこういうストーリーがあって」と語っても、人がその作品をどう見るかには関係ないことです。

―作り手側ではなく、それを鑑賞する方が決めるということですね。Yokoshimaさんは長年アートに携わっていますが、作品を生み出す苦しみなどは感じますか?
苦しみや辛さはあまりないですね。制作に時間がかかることはありますが、作品作りには心の状態と体の健康が大切です。アートというのは疲れ切っている中で頑張って生み出すものではありません。体のコンディションが整っていて、心が何かにときめいている時にこそいい作品が作れます。
無理に描いても、結局はバレてしまうものです。薄っぺらい絵はその場ではいい作品に感じても、家に飾った時に何年も見ていられなくなります。良い眼を持っていれば良い絵と悪い絵は見極められますよ。

―そういった眼はどうすれば養われるのでしょうか?
良い絵と悪い絵をたくさん見ることです。ただ、これは見る人によって変わるものです。どの絵が自分にとって価値のある作品か選ぶ基準を持っている方は、描き手に劣らないと思います。
自分の基準を作るためには、どの絵にピンとくるかを考えながら見ていく必要があります。日本人は美術館に行くと、最初から最後まで順番通りに鑑賞しますが、そうではなく自分が一番良いと思うものをじっくり見ると良いでしょう。

―これからアートを楽しみたい方にとって、すごく役立つ情報ですね。最後に、Yokoshimaさんにとって作品作りとはどんな意味を持っているか教えてください。
どういう意味があるのかは、正直わかりません。ただ、作品を作っていると、この世界には目に見えない何かがあると実感します。表面的に見えているものだけではなく、その奥に別の世界があるという感覚です。これはアートと向き合っているからこそ感じられるものですし、これからも大切にしていきたいです。

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